ゲートキーパー研修会を受講してきました

かしづきの日常

こんにちは。店主です。

少し時間が経ってしまいましたが、先月末に開催されたゲートキーパー研修会を受講してきました。

“ゲートキーパー”という言葉を初めて聞いた人もいると思いますが、ゲートキーパーとは自殺予防のために「様子がおかしい」などの兆候に気づき、声をかけたり、見守ったり、適切な支援に繋げる役割の方を言います。

以前から受講したいと考えていましたが、中々情報が更新されないので直接足立区に問い合わせて今回申し込ませていただきました(現在は区の職員やNPOの関係者などを対象にクローズで行っているみたいです。)

講習会の内容は、まずNPO法人自殺対策支援センターライフリンクの代表である清水さんから、自殺の現状や自殺対策についての講演がありました。そのお話しの後は、自死遺族の方に登壇していただき当時の状況についての詳細をお話し頂きました。

自殺ということに対して身近に感じる方もいると思いますが、「私には縁のない話」と思う方も多いのではないかと思います。実際に登壇された方にとっても、縁のない話だと思っていたとのことでした。

ここでお話の詳細などは伏せますが、自殺に追い込まれていく過程にはいくつもの要素が重なり合っているということ。「決め手」となるような出来事があるように見えるケースもありまずが、実はそれまでにも多くの度重なるストレスが蓄積されているのです。

私も医療機関に勤めて、心身を病んでいる方々と常日頃から関わっています。

心身を病む原因は大きく2種類あると考えています。

一つは、大きな外傷が加わった際に起こるもの。転んで骨折したり、刃物で切ってしまったりといったケガのようなもの。心理的なものにおいても、何か犯罪に巻き込まれてしまうなどの大きな体験が、その後のトラウマになることがあります。

そしてもう一つは、小さなストレスが蓄積されて起こるもの。筋力の弱さや関節の硬さなどにより、特定の部位に負荷が集中して蓄積して、膝痛や腰痛などが起こることがあります。心理的にも、日々の小さなストレスの蓄積や安心できない環境下などにより、うつ病などに繋がっていくことがあります。

自殺というのは突発的に見えますが、実は後者のような日常的な小さなストレスによって心が病んでいってしまった結果、そのような事態になることが多いとのことです。

この小さなストレスの蓄積というのは、生きている以上誰しもに降りかかるものです。しかしそこで「頼れる人がいるかどうか?」「頼ることができるかどうか?」ということが、ストレスを対処していく上で重要になるのです。(人に頼ることができるというのは、育ち方など養育環境などの影響も大きいと考えられます)

ストレス対処能力という言葉はご存知ですか?知らない方も多いと思うので、ぜひコチラの記事も読んでいただけたらと思うのですが、ストレス対処能力というのは個人の資質のみで決まるものではないのです。そこには周囲の人や組織などの資源が大きく関係しています。

ストレスの原因は多岐に渡ります。経済的なこと、法律的なこと、病気に関すること、子育て、人間関係など様々です。
なので自殺対策には(それだけでないと思いますが)様々な機関・人が関わって助け合っていく必要があります。

ゲートキーパーは、「少し様子がおかしいな」に気づき、声をかけ、見守り、そして適切な支援に繋げていく役割。そのためにも様々な機関について勉強していく必要があると、講習を受けて改めて考えさせられました。

話がだいぶ飛んでしまいましたが、ゲートキーパー研修会ではその後、足立区衛生部こころとからだの健康づくり課の方からのお話もありました。ゲートキーパー手帳の使い方など、支援していくにおける最低限の知識などについてのお話です。

 

この研修を受けることで、自殺を食い止められるというほど単純なものではありませんが、この研修を受けることで多くの人が近所の人たちを見守り、話を聞いたり声を掛け合う地域になっていけば、自殺は少しずつ減っていくのではないかと思います。もっとオープンに募集をかけたりしないのかなぁとも思ったりしますが、色々と配慮も必要なのかもしれません。

 

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