「かしづき」の名前の由来とは?〜地域で子どもを育てる意味〜

子どもの発達

こんにちは。ささやんです。

いきなりですが、よく聞かれる質問にこんなものがあります。

「”かしづき”ってどういう意味?菓子好きってこと!?」

そこで本日は「かしづき」の意味と、その名前に込めた想いを紹介させていただきたいと思います!

かしづきの意味

駄菓子屋の名前を決める時に考えていたのは「古き良き日本語を使いたい」ということでした。
駄菓子屋といえば、昭和の日本のノスタルジックな雰囲気を思い起こさせる、あの独特な空間が醍醐味!そんな日本っぽさを大切にしたいなと考え、日本語の古語を探していました。

そして探していると、私たちが駄菓子屋をやる目的にピッタリな言葉を発見!
それが傅く(かしずく)だったのです!

かしづきの名前の由来である「かしづく」という言葉は「人に仕えて大事に世話をする」「大切に養い育てる」「保護する」というような意味を持ちます。

駄菓子屋かしづきは、“親ではない地域の大人”がすべての子どもを大切に想い、地域で子どもを育てていくことを目標にしています。

そして子どものみならず、保護者、地域住民のどなたにとっても「心理的に安心・安全な場」を作っていくことをコンセプトに運営していきます。

ではなぜ「心理的に安心・安全な場」が大切なのか?子どもの心の発達の側面から紹介させていただきます。

 

愛着形成とは?

愛着(アタッチメント)という言葉を聞いたことが皆さんもあるのではないでしょうか?
愛着とは心理学用語で「情緒的結びつき」「心の安全基地」とも言われる、人間にとって非常に重要な概念です。

愛着理論はJhon Bowlbyというイギリス出身の精神科医が提唱した大変有名な理論です。Bowlby先生が提唱した愛着理論は様々な批判を受けつつも、その大まかな概念は広く受け入れられ、そして研究を重ね修正されながら、現代では広く社会政策にも反映されるほどに浸透しています。

愛着理論によると、子どもは母親的存在(必ずしも母親でなくてもよい)に対する信頼(例えば「泣いたら来てくれる」「見えなくなっても必ずまた戻ってきてくれる」など)の経験を重ねていく中で「何かあっても自分は安全が保たれているから大丈夫」という安心感を得ます。そしてその安心・安全が保たれるため、子ども自ら好奇心に沿って行動範囲を広げ、様々な経験を重ねていきます。これが簡単にいうところの愛着形成が大切だと言われる所以です。

つまり他者との愛着形成によって
・心理的な安心感を得る
・自分の行動範囲を広げるように挑戦し経験する
・経験によって成功体験や失敗を繰り返す
・自己肯定感、自己効力感が育まれていく
・非認知能力、実行機能が育まれていく

という心理的発達を経ていきます。

自己肯定感や非認知能力といった概念は、将来的な学力や収入、また健康や病気、犯罪リスクなどにも影響するような概念であり、近年非常に注目されています。

これらは簡単に言えば、自分の価値を認めている状態であり、自分をコントロールする能力です。
「目先の利益よりも将来的な利益を考えて行動を選択する」「周囲の状況に合わせた行動選択をする」といったことができる能力の基盤です。

この能力によって「計画的に勉強をする」「健康行動を選択する」「善悪の判断を理性でコントロールできる」といった行動に繋がります。そのため将来の学力や収入、健康、犯罪リスクなどに直結するのです。

幼少期の愛着形成は「心の発達」の基盤となり、その後の人生に大きく影響していくと考えられています。

愛着形成のために大切なこと

保護者の支援

愛着形成は通常、親子間で築かれていくものです。しかし様々な要因で親子間で愛着形成できないケースもあります。例えば厳しい環境に置かれており親に余裕がなくなってしまっている場合は、子どもと向き合うことが難しくなっていきます。これは決して「子どもが可愛くない」「子どもが憎い」ということでなく、子どもを愛していても余裕がなく、心理的に追い詰められてしまうからなのです。

ではどういったことが原因で、親の心の余裕は失われていくのでしょうか?
その代表例は周囲に頼れる存在がいない場合です。配偶者がおらず一人で子育てしている。両親との関係が途絶えている。周囲に友達や悩みを相談できる人がいない。地域資源にアクセスする知識がない。

そういった社会背景が存在し、保護者の心の余裕を蝕むのです。いわゆる孤立と呼ばれる状況です。

そのため、愛着形成のために重要なのはソーシャルキャピタルの醸成です。
ソーシャルキャピタルとは社会関係資本とも呼ばれるもので、近所付き合いから公的サービスまで、その人を取り巻く信頼関係のことを指します。豊かなソーシャルキャピタルは出産の意思決定に影響する(1)との報告、近所付き合いの程度は子育てのしやすさに関係する(2)などの報告もあり、地域の在り方が子育てのしやすさや親の余裕に影響を及ぼすことが考えられます。

 

子どもを見守る大人の存在

また子どもの愛着形成は決して母親とだけ結ばれるものではありません。それは父親であっても、祖父母であっても、保育士さんや学校の先生であっても、そして近所の大人であっても可能なのです。

子どもが「この人は裏切らない」「「この人は自分の味方だ」と心理的に安心・安全を感じられること。それが非常に大切です。

つまり私たちすべての大人の在り方が、子どもの健やかな発達に影響しているのです。
駄菓子屋かしづきの名前の由来でもある「大切に育てる」は、このような想いに合致した名前でもあるのです。

まとめ

「駄菓子屋かしづき」の名前の由来は、古く美しい日本語「かしづく」からきています。その意味とは「大切に育てる」というもの。

私たちが駄菓子屋を運営しようと思ったきっかけでもある「地域で子どもを育てる」という想いにピッタリの美しい日本語です。

駄菓子屋かしづきの目的は、子どもに駄菓子を届けることではありません。こ。子どもが健やかに育つ環境をつくりあげること。そのためには、

1.ソーシャルキャピタルの醸成
2.親の余裕を生み出す
3.子どもと関わる大人の在り方

この3つの要素が重要だと考えています。

私たちはこれらに取り組みながら、「地域で子どもを育てる」を体現していくために運営していく駄菓子屋です。

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